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〜平和の日を子どもたちが〜

60年前の真夏の8月6日朝、広島市上空に投下された原子爆弾は
14万人もの人の死をもたらし
あの日を辛くも生き延びた多くの市民も、その後後遺症に苦しみ悩んで死んで行った
広島の平和公園からは
古びた裸になった鉄骨のドームが60年もの間市民の日々見続けられてきた

生き残った市民たちは悪夢の夜を繰り返し
原爆投下の翌年からは
毎夏、町のあちこちで
「No More Atomic Bomb」のメガフォンの声が荒々しく叫びつづけられてきた

公園の呼び名は「平和」の言葉で飾られてきたが
果たしてこの公園は市民の心に安らぎを与えたか
「殺すなかれ、ドント・キル、核兵器を葬れ」の掛け声の繰り返しからは
本当の平和は生まれてこなかった

そこで、私はこう提唱したい
 人を心から愛するためにすべてを恕(ゆる)そう
 人の命を愛する国民に生まれ変わって−

そうだ
君は知るか
愛の衣には恕しと思いやりが裏地に仕立てられていることを

相手の誤ちを恕した上で
自らの誤ちも恕されることを祈り
愛の衣の中で共に抱きあえる日を静かに待とう

少年少女たちよ
この美しい地球上に咲く花や草や木を
もっともっと愛そう

空を飛ぶ鳥や
地を這う動物や昆虫
そして私たちを慰めてくれるペットをもっと強く抱きしめよう

国境を越えて国民の命を互いに愛し合おうよ
恕しをもつ愛こそが世界の隅々にまで平和をもたらすのだ
「愛は報いを望ます、人に施し、友のためにわが身をも捧げる」※

戦時下でのあの貧しさと苦しさの最中では
戦争や原爆を経験した老人たちは
家族や友人同士
互いに寄り添い助け合って生きてきた話を子や孫に伝えてもらおう

世界の子どもたちが大人になる日までには
平和の世界が必ず実現されることを老人たちは強く念じて
その時が少しでも早く来るのを老人は長生きして待とうよ

他をいつも配慮する愛の寛(ひろ)き心で
真の平和を世界の隅々まで広げていこう
平和の種を皆で空高く広げ、勇気を持って前進また前進だ

〜蒼穹(あおぞら)に平和の鳩が大きな輪を描く日を切に待ち望んで〜

                               日野原  重明

※引用:新約聖書ヨハネによる福音書十五章十三節